My kanpou LIFE
漢方ノート

【薬膳ノートまとめ】春夏秋冬、何を食べたらいいの?

漢方女史

春夏秋冬何を食べたらいいの?薬膳では四季の食事をどのように考えるのか、私の薬膳ノートを公開します。

春の食養生

春は発陳(はっちん)の季節。万物が目覚め、芽吹く時です。

万物の成長を押さえつけず、のびのびと過ごすと良い時期とされています。

五臓の『肝』の動きが活発になるので、肝のトラブルが起こりやすい季節でもあります。

春に心がけたい食事のポイントは4つ!

春に気をつけたい食事のポイント

・甘味を摂る

・平肝を心掛ける

・酸味を控える

・健脾を心がける

甘味を摂る、健脾を心がける

春は気血のエネルギーを消耗するので、甘味を摂って気血を養う必要があります。

脾は気血を作り働きのある臓。

脾を助ける作用がある甘味食材は積極的に摂りたいですね!

甘味の作用

甘味は補益(滋養強壮)緩急(痛みの緩和)調和(食材や生薬の調和、脾胃の調和を図る)

春におすすめの健脾食材

・ハトムギ・・・甘・微寒/脾、肺、胃(健脾止瀉、脾虚による慢性の下痢)

※利水薬。健脾して余分な水分を出す。妊婦禁忌。

・粟・・・甘・涼/脾、胃、腎(健脾、和胃、益腎、清熱)

※腎に帰経している雑穀。脾を整えるので胃の弱い人に。

アスパラガス・・・甘・微涼/(健脾益気/利水/清熱)

※脾が弱くて元気がない人に。効能は強くない。

たけのこ・・・甘・寒/胃・大腸(通便)

※慢性の便秘と下痢に。慢性疾患のある人は食べない。脾胃虚弱の人は慎要。胃潰瘍、結石のある人は食べない。カルシウムの吸収を阻害するので老人や子供は控える。

なつめ・・・甘・温/心、脾、胃、肝(補中益気/養血)

※脾虚による栄養失調、倦怠感、食欲不振、慢性下痢に良い。補気の力が強いので、淡湿、積滞がある人は多食しない。補血の効果もある。

苦味を摂る、酸味を控える

春は肝に熱を帯びやすい季節。

肝の気が上がると、換気鬱血、肝火上炎、肝陽上こうなど肝の不調が出てきます。

肝の気を下げるためには苦味がおすすめ。

苦味の作用

清熱(熱を冷ます)瀉下(便を下す)降逆(気逆を降ろす)燥湿(湿を乾かす)

春におすすめの苦味食材

・セロリ・・・甘苦・涼/、胃、肺(平肝、肝熱による目の充血と目のかすみ、めまい、頭痛、イライラ。寛肝陽上こうによるめまいや頭痛にも)

※胃腸が弱い人は控えめに。風熱風邪には効果がないが、春の気鬱にはセロリが良い。

・菊花・・・甘微・微寒/肺、(清肝明目/平肝潜陽)

※生薬。めまい、頭痛、高血圧、目の充血に良い。セロリとの違いは風熱風邪に効くこと。

夏の食養生

夏は藩秀(ばんしゅう)の季節。万物が成長する時です。

暑くなるので、心のトラブルが起こりやすく、肺の津液が破られやすい時期です。

また、梅雨時期は体の中に湿度をためやすく、水の巡りが悪くなります。

体を冷ますため清熱をする苦味、汗の漏れを防ぐ酸味、肺の津液を潤す甘味×酸味の食材を摂ります。

夏に心がけたい食事のポイントは4つ!

夏に気をつけたい食事のポイント

・苦味を摂る

・淡味を摂る

・酸味を摂る

・潤肺を心掛ける

苦味を摂る

夏は心のトラブルが生じやすい季節。

体の中に炎熱が体の中に入り、高熱が出たり、汗が出過ぎたり、心のトラブルである不安や不眠を引き起こすこともあります。

余分な熱を取る苦味を摂取することで体を守ります。

苦味の作用

清熱(熱を下げる)、瀉下(便を下して出す)、降逆(気逆を降ろす)、

夏におすすめの清熱野菜

・とうもろこし・・・甘・平/胃・大腸 (食欲不振に良い)

※消化が弱い人は控える。

・南蛮毛・・・甘・平/、腎、膀胱、小腸 

※利水薬。むくみをとる。肝胆湿熱による黄疸にも。

・トマト・・・甘酸・涼/肝、脾、胃(清熱生津、健脾消食

※冷やすことが得意。食欲不振にも良い。

・なす・・・甘・涼/脾、胃、大腸(瘀血による痛み)

※活血作用が強い。血の巡りを正常化する。

淡味を摂る

梅雨時期は体内の水の巡りが悪くなり、むくみや重だるい頭痛、下痢などのドラブルを引き起こします。

淡味はドロドロベタベタした湿を取り除く働きがあります。

淡味はウリ科の食材や、豆類に多いです。

梅雨におすすめのウリ科の食材

・とうがん・・・甘淡・涼/肺・大腸・小腸・膀胱利水化痰生津清熱

※膀胱湿熱に良い。

・ゴーヤ・・・苦・寒/・脾・肺(清熱)

※冷やすことが得意。

・きゅうり・・・甘・涼/胃・小腸(清熱)

※ほてりを取る効果がある。

・スイカ・・・甘・寒/・胃・腎(清熱解暑利水

※ほてり、むくみに。脾胃虚寒、軟便の人は控えめに。

・スイカの皮・・・甘淡・涼/・胃(生津止喝)

※利水薬。脾胃虚寒、軟便の人は控えめに。

梅雨におすすめの豆科の食材

・緑豆・・・甘・寒/・胃(清熱解毒

※食べ物、酒、薬物の中毒の毒消しに。冷やすので、脾胃虚寒タイプは控える。

・もやし・・・甘・寒/・胃(清熱、解毒利尿)

※熱と湿の夏バテに。効果は弱い。大豆もやしと黒豆もやしは違う性味になる。

酸味を摂る

夏の暑邪は津液を傷ぶり気を消耗するので、肺の津液が失われやすい季節です。

酸味を摂り気の漏れを防ぎます。梅、レモン、酢、サンザシなど。

潤肺を心掛ける

夏は心陽が高まり、肺陰を消耗します。酸味と甘味を取ることで陰液を補ったり(酸甘化陰)種実類を摂り、肺を潤わせましょう。

夏におすすめの潤肺食材

種実類・・・梨、いちじく、くるみ、松の実

その他・・・ゆりね、白キクラゲ、牛乳

秋の食養生

秋は『容平』と言って、万物が実り形を変化させる時期です。

燥邪の影響で肺の不調をきたしやすい季節なので、肺の健康を守ることや潤いを保つことが大切になってきます。

乾燥から体を守るには、肺を潤す白い食材の摂取を心がけたいですね。

秋に心がけたい食事のポイントは3つ!

秋に気をつけたい食事のポイント

・酸味と甘味を摂る

・辛味を控える

・潤肺を心掛ける

酸味と甘味を摂る

秋は『酸甘化陰』が必須。酸味と甘味を一緒に摂取することで、体を潤すことが出来ると考えられています。

例えば、梅干しのおかゆは、梅が酸味、ご飯が甘味なので、気血を消耗した体をいたわるのに良いとされるメニューです。他にも夏に食べたい、蜂蜜レモンも汗で失った気血の消耗に良いとされています。

秋に旬を迎えるフルーツ類は、それ自体が酸甘食材になります。

秋におすすめの酸甘食材

・梨・・・甘・微酸・涼/・胃・心(生津

※肺を潤すことが得意。

・りんご・・・酸甘・涼/脾・胃・心(健脾、生津)

※脾を整える。心に帰経するので安神効果も。

・みかん・・・酸甘・涼/脾・胃(生津

※胃の気滞に良い。

・いちじく・・・甘・平/肺・脾・胃・大腸(生津・通便

※大腸に良い。

潤肺を心掛ける

肺は乾燥を嫌うので、潤してあげなくてはいけません。

果物は水で潤しますが、種実類は油で肺を潤します。

また、大根やれんこんのような白い食材は水分が豊富で肺に良い食材なので積極的に摂取したいですね。

秋におすすめの種実類

・くるみ・・・甘・温/肺・・大腸(補納気定喘、潤腸通便)

※補陽薬。腎のケアに良い。

・松の実・・・甘・微温/・肺・大腸(潤燥

※潤下薬。腸を潤す。肝にも良い。

・落花生・・・甘・平/脾・肺(潤肺

※脾や胃に良い。

・栗・・・甘・温/脾・腎(益気健脾、補腎)

※腎のケアに良い。

・ぎんなん・・・甘・苦・渋・平/肺・腎(咳止め)

※肺に効く。咳止めに良い。

秋におすすめの白い野菜

大根・・・辛甘・涼/脾、肺、胃、大腸(消食、気滞改善、化淡、熱証の止血)

※胃腸の不調を改善

ヤマイモ・・・甘・平/脾・肺・腎(補気薬、補脾止瀉、補腎固精、補肺止咳)

※気を補う。漏れ出る物を固める。腎臓のケアに。

れんこん・・・甘・寒/心、脾、胃、肺(清熱潤肺、涼血化瘀、健脾開胃、止瀉固精)

※熱を冷ます。

辛味を控える

辛味食材は喉、鼻、皮膚の乾燥を悪化させます。

辛味のある香辛料は控えましょう。

長ネギ、生姜、にら、ニンニクなど辛味食材は風寒風邪の引き始めには有効です。

冬の食養生

冬は閉蔵と呼ばれ、万物が活動を控える時期。

寒邪の影響を受けやすく、全身の冷えから気血の滞ったり、寒さによって気血を消耗しやすくなります。

また、生命力の源である腎を痛めやすいので黒い食材を積極的に摂取したい季節でもあります。

冬に心がけたい食養生のポイントは4つ!

冬に気をつけたい食事のポイント

・辛味を摂る

・鹹味を摂る

・補気補血を心掛ける

・腎を養う

辛味を摂る

辛味は体を温め血行をよくする働きがあります。

たくさん摂取すると気血を消耗するので要注意。

辛味の作用

・発散(発汗により外邪を発散させる)・理気(気を巡らせる)・理血(血を巡らせる)

冬におすすめの辛味食材

生姜・・・辛・微温/脾、肺、胃(発汗解表中止嘔)

※生薬名は生姜。陰虚内熱、実熱は禁忌。

ねぎ・・・辛・温/肺・胃(発汗解表、散寒通陽)

※発汗、散寒の役割。

シナモン・・・辛甘・大熱/心・肝・脾、腎・胃(温中補陽、散寒止痛)

※生薬名は桂皮。温裏薬。肺以外の全てに効く。熱証、妊婦は禁忌。

カショウ・・・辛・熱/脾・胃・腎(温中止痛除湿止瀉

※生薬名も花椒。小毒があるので注意。妊婦は慎要。

酒・・・甘辛苦・温/心、肝、肺、胃(通血脈

※血行を良くする。陰虚内熱、出血、湿熱には禁忌。

鹹味を摂る

鹹味は腎を助け、滋養強壮の働きがあります。

昆布、わかめ、ひじきなど海の食材は鹹味になります。

塩、醤油、味噌など調味料も鹹味です。

鹹味の作用

・軟堅散結(塊や硬いものを柔らかくする)・瀉下(便を下して出す)

冬におすすめの鹹味食材

・えび・・・甘鹹・温/肝・(補腎壮陽、滋陰)

※腎陽も腎陰もどちらも補う。肝風内動にも良い。

・昆布・・・鹹・寒/肝・胃・腎(消痰軟堅)

※脾胃虚寒タイプは控える

補気補血を心掛ける

寒さで気血を消耗しがちな冬。次の春を元気で過ごすためには、冬に補気補血を心掛けけ栄養を蓄えなければいけません。

冬におすすめの気血を養う食材

・椎茸・・・甘・平/肝・脾・胃(健脾益気、理気、化痰)

※補気する力が強い。気滞は控える。

・高麗人参・・・甘微苦・微温/肺・脾(補気固脱補脾益肺

※陰虚、熱証は禁忌

養腎を心掛ける

冬の寒さは生命力の源である腎を痛めます。飲食により腎を養うことはとても大事です。

腎を養う黒い食材は積極的に摂取しましょう。

くるみ、杜仲も腎に良い食材です。

冬におすすめの腎を養う食材

・羊肉・・・甘・熱/脾・腎(健脾温中、補腎壮陽)

※外感病、熱証は禁忌。

・昆布・・・鹹・寒/肝・胃・(消痰軟堅)

・えび・・・甘鹹・温/肝・補腎壮陽、滋陰)