臓腑弁証の第2回目は”心”の不調についてです。
4つの症状と、その治し方、処方される漢方薬について私のノートを公開していきます。
心の働きは大きく分けて二つあります。
・血を体全身に巡らせる
・精神を健やかにする
心はポンプのように全身に血を送り出すとても大切な働きがあり、不調のサインは主に動悸として現れます。
また、精神活動にも関わるので、不眠や夢を多く見るなど睡眠の質にも影響します。
いずれのケースも動悸と不眠が現れますが、血が不足しているのか、滞っているのかで治法が変わります。
心に熱を帯びている→心火上炎
血が滞り上手く流れない→心血瘀阻
気や血が不足している→心気虚、心血虚
心に熱が溜まってカッカしている 心火上炎
心の熱が亢進している状態を心火上炎(しんかじょうえん)と言います。
イライラして落ち着きがなく、目が冴えて眠れないなどの症状が伴うことがあります。
舌が紅く舌先に点刺があります。
治法は清熱瀉火(せいねつしゃか)になります。
火を消して心を鎮めます。水をかけて火を鎮めるイメージですね。
代表処方は黄連解毒湯(おうれんげどくとう)です。
とても冷やす効果がある漢方薬です。
精神の症状改善、胃腸、高血圧、痒みの改善に使われます。
イライラを鎮め、精神安定にも良いとされます。
血の巡りが滞って痛みが起きる 心血瘀阻
心の血流が悪くなっている状態を心血瘀阻(しんけつおそ)と言います。
胸の痛み、圧迫感、強い動悸などを伴うことがあります。
治法は活血化瘀(かっけつかお)になります。
血を巡らせ瘀血を取り除きます。
代表処方は生薬2号(しょうやくにごう)という市販薬です。
活血、芍薬、紅花のように活血の効果のある生薬が配合されています。
血を巡らせるパワー不足 心気虚
心の気が不足していてる状態を心気虚(しんききょ)と言います。
顔色が白く、疲れやすいなど気虚の代表的な症状に動悸や不安感が加わります。
舌質は淡泊で歯痕があります。
治法は補益心気(ほえきしんき)になります。
心の気を補い機能を回復させます。
代表処方は炙甘草湯(しゃかんぞうとう)です。
甘草を火で炙ったもので、動悸、息切れなど心の症状改善に処方される漢方薬です。
そもそも血が不足している 心血虚
心の気が不足していてる状態を心血虚と言います。
貧血、不眠、健忘、めまい、痺れなど血虚の症状が多く現れます。
うるおい不足で、舌に裂紋があることがあります。
治法は補血安神(ほけつあんしん)になります。
血を補い精神状態を整えます。
代表処方は帰脾湯(きひとう)です。
顔色が悪い、貧血、不眠など血虚の症状を改善する漢方薬です。
血を作る脾の働きも高めます。
まとめ
心は血を巡らせ、精神を安定させる働きがあります。
働きが失調するといろいろな不調が現れます。
病証 | 主な症状 | 治法 | 代表処方 |
心火上炎 | イライラ、不眠 | 清熱瀉火 | 黄連解毒湯 |
心血瘀阻 | 胸の痛み、強い動悸 | 活血化瘀 | 生薬2号 |
心気虚 | 疲れやすい、不安感がある | 補益心気 | 炙甘草湯 |
心血虚 | 貧血、健忘、めまい、痺れ | 補血安神 | 帰脾湯 |
心の不調は動悸がサインになります。