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漢方ノート

【漢方ノート10】生薬の性質と分類

本草学は漢方の薬物学のことです。

植物だけでなく、鉱物や動物も含まれます。

総称して「生薬」と呼びます。

薬には身体を温めたり冷やしたりするものがあり、これを薬性の四気といいます。

また、生薬には色々な味があり、味によってそれぞれ効能や作用が違います。これを薬味の五味といいます。

生薬の分類や性質をしっかり覚えていきましょう!

四気

薬は身体を温めるものと、冷ますものがあります。

温熱性・・・身体を温める。温法で使う。

寒涼性・・・身体を冷やす。清法で使う。

平性・・・特徴がはっきりしないもの。

五味① 酸味

酸味には収斂固渋の作用があります。

気血水の漏れを止める働きがあります。

虚弱者の発汗、慢性の下痢、尿もれ、不正出血に効果があるとされています。

代表生薬は五味子、食薬は烏梅です。

渋味・・・酸味に属する。

五味② 苦味

苦味には清熱瀉下降逆燥湿の作用があります。

効能作用代表生薬食薬
清熱熱を冷ます黄連、黄芩、黄柏山梔子
瀉下便を下す大黄盧会
降逆気逆を下す。しゃっくりなど柿蔕杏仁
燥湿湿を乾かす。蒼朮陳皮

五味③ 甘味

甘味には補益、調和、緩急の効能があります。

効能作用代表生薬食薬
補益補う、滋養強壮黄耆人参
調和生薬の調和、食欲不振、胃のむかつき甘草大棗
緩急痛みの緩和、筋の緊張、痙攣による痛み甘草膠飴

淡味・・・甘味の親戚。

漢方女史

「芍薬甘草湯」は足がつった時に飲む漢方薬です。

芍薬で血を補い、甘草で痛みを和らげる処方というわけですね。

五味④ 辛味

辛味には発散理気理血の効能があります。

効能作用代表生薬食薬
発散発汗によって外邪を発散させる。麻黄桂枝
理気気を巡らせる。腹部膨満、ゲップ、喉の支え厚朴陳皮
理血血を巡らせる。月経痛、瘀血。川芎紅花

五味⑤ 鹹味

鹹味の効能は軟堅散結瀉下です。

効能作用代表生薬食薬
軟堅散結固まりをほぐす。腫瘍、しこり、腫れ物。牡蠣昆布
瀉下便を出す。芒硝

帰経

帰経とは、生薬や食材がどの臓腑に働くか?を示すものです。

肝の熱は竜胆、イライラなら心に効く黄連や連翹、胃熱なら脾に働く黄連や石膏、

熱を冷ましたい場合、どの臓の熱を取りたいかで用いる生薬も違います。