四診をして弁証をしたら、次は治法を決めます。
治療の流れ
四診→弁証
→治則・治法(今日はここについて解説)
→処方
漢方の基本的な治療は以下の8つにまとめられ、これを治法八法といいます。
治法 | 内容 |
汗法(かんほう) | 発汗作用のある薬物を用い、汗を出すことで体表の邪気を散らす。発汗だけでなく、身体の中の水の巡りが悪くなった時にも使う。 |
吐法(とほう) | 催吐作用のある薬物で、有害物質を吐き出す。腹水、胸水を出す時にも。現代ではあまり用いない。 |
下法(げほう) | 排便促進作用のある薬物で、体内の停滞物を排除する。 |
和法(わほう) | 和解調和することで陰陽、臓腑、気血水のバランスを整える。 |
温法(おんほう) | 温性、熱性の薬物を用い、寒邪を除去し、陽気を活性化する。シナモンやよもぎなど。 |
清法(せいほう) | 涼性、寒性の薬物を用いて裏熱を取り除く。清熱が一般的だが、もっと激しい熱は瀉火法。涼血は血の熱をとる、鼻血を止める時など。 |
消法(しょうほう) | 気滞、瘀血、痰飲や食積など体内に詰まったものを解消する。 |
補法(ほほう) | 気血水、陰陽を補う薬物を用い不足を補う。 |
漢方女史
治法の頭文字をとって「かんとげわおんせいしょうほ」と覚えます。
消法と補法は種類が多いので詳しく解説をします。
消法(しょうほう)
消法は気滞、瘀血、水滞、痰飲、食積など実証に対して用いられる治法です。
治法 | 内容 | 漢方薬 | 生薬 |
理気法(りきほう) | 気の巡りを解消する薬物を用いる。 | 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう) | 柴胡、香附子、陳皮、厚朴、枳実 |
利水法(りすい) | 水の滞りを解消する薬物を用意る。化痰。 | 真武湯(しんぶとう)小青竜湯(しょうせいりゅうとう) | 沢瀉、茯苓、白朮(水) 半夏、陳皮(痰) |
理血法(りけつ) | 瘀血を解消する薬物を用意る。 | 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) | 牡丹皮、紅花、桃仁、川芎 |
消導法(しょくどう) | 食化促進を促す薬物を用る。 | 平胃散(へいいさん) | サンザシ |
漢方女史
詰まっているものは出せばいい!という考え方です。
補法(ほほう)
補法は気虚、血虚、津虚、陰虚、陽虚など虚証に対して用いられる治法です。
治法 | 内容 | 漢方薬 | 生薬 |
補気法(ほきほう) | 気を補う薬物を用いる。下垂を引き上げる昇堤法も腹む。 | 四君子湯(しくんしとう) | 人参、黄耆、白朮、茯苓、甘草 柴胡、升麻(持ち上げ) |
補血法(ほけつほう) | 血を補う薬物を用いる。 | 四物湯(しもつとう) | 地黄、芍薬、当帰、竜眼肉、阿膠、酸棗仁 |
補陽法(ほようほう) | 陽気の不足を補う。 | 八味地黄丸(はちみじおうがん) | 地黄 |
滋陰法(じいんほう) | 陰液を養って増やす。 | 六味地黄丸(ろくみじおうがん) | 地黄 |
漢方女史
不足しているところは補う!という考えです。
試験対策のポイント
・「かんとげわおんせいしょうほう」は丸暗記。
・消法、補法は個別の症状をしっかり覚える!