どうして肥満になるの?漢方ではどのように考えるのか。治し方と、処方される漢方薬について私の漢方ノートを公開します。
漢方において肥満の原因は脾の運化の失調することで、淡湿が発生するからと考えられます。
肥満の正体は気血水の滞りだったのです。
肥満を解消するには脾の運化作用を回復させ、気滞や瘀血を解消してこれを取り除くことが重要と考えられています。
肥満タイプ別 治法と代表処方
タイプ | 病気の原因、特徴 | 治法 | 代表処方 |
気虚水滞 | 下半身が太りやすくむくみやすい。 疲れやすく、体が重だるい。 | 補気利水 | 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう) 六君子湯(りっくんしとう) 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) |
気滞 | 体重の増減が激しい。ストレスで暴飲暴食。 胸腹に膨満感。 | 理気 | 加味逍遙散(かみしょうようさん)大柴胡湯(だいさいことう) |
瘀血 | お腹周りが太りやすい。しみアザができやすい。 | 理血 | 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) 桃核承気湯(おうかくじょうきとう) |
混合 | 色々な症状が混在して便秘をしている。 | 理気理血食消 | 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん) |
漢方薬処方の判断ポイント
気虚水滞タイプ
水滞が強い場合・・・六君子湯
血虚を伴う場合・・・当帰芍薬散
気滞タイプ
イライラがある・・・加味逍遙散
便秘傾向・・・大柴胡湯
瘀血タイプ
血の巡りが悪い・・・桂枝茯苓丸
便秘もある・・・桃核承気湯
防風通聖散の使用上の注意
防風通聖散はある程度、体力が充実した人が飲む漢方薬です。
麻黄、大黄、甘草の生薬が含まれています。
麻黄は交感神経興奮作用があり、大黄は下剤による腹痛が起きる場合があります。
甘草は強いむくみのある人は服用を避けた方がいい生薬です。
つまり、薬効が非常に強い。
市販薬の「ダイエット」と名のつくお茶は防風通聖散であることが多いです。
副作用のリスクがあるので、気軽に飲まないように気を付けましょう。
肥満に悩む人へのアドバイス
相談者A
元々、むくみやすいぽっちゃり体型で、色々なダイエットを試したが成功しない。
食事制限をすると疲れて冷えてしまう。朝起きられないので、朝食は食べない。普段から汗をかきやすい。年々、花粉の症状が強くなっていく。
(34歳独身女性)
八網弁証 | 裏証、寒証、虚証 |
気血水弁証 | 気虚、水滞 |
臓腑弁証 | ー |
むくみ、ぽっちゃり、水様の鼻水は水滞の特徴的な症状です。
普段から汗をかきやすいという訴えから、気虚であることがわかります。
相談者さんへの回答
気虚と水滞を併発して、痩せにくい体質になっている様です。
まずは体質改善で気を補う生活を心がけていきましょう。
朝食も気の源。バランスの良い朝食を意識して下さい。
冷えの解消にはプーアル茶がおすすめです。水毒を排出し、身体を温めます。
過労は気を消耗させるので、無理な運動は禁物です。ヨガやストレッチなど呼吸法や軽い運動を取り入れて気の巡りを良くして下さい。